シリコンバレーを筆頭に盛り上がりを隠さないスタートアップ界隈、彼らの精神や思想を言葉に落とし込んだマインドセットの本はいくつかあります。
CEOからDEOへ – 「デザインするリーダー」になる方法 もそのひとつ。
リーンスタートアップ が、
「リーン生産方式」を「スタートアップ」に適応しよう
Lean UX が、
「リーン生産方式」を「UXデザイン」に適応しよう
だとしたら、本書は
「デザイン思考」を「会社経営」に適応しよう
の本。
内容をつまみ食いで紹介します。
著者
- マリア・ジュディース
エクスペリエンスデザイン会社HotStudioを設立し、現在Facebookのプロダクトデザインディレクター。
- クリストファー・アイアランド
シリコンバレーのデザインリサーチ会社Cheskinの共同創設者で、現在はカリフォルニアの美大やスタートアップに向けて起業家精神を指導している。
「DEO」とは
DEO = Design Executive officer
次世代のCEOはこうあるべきだ、と著者が提唱する概念。
著者は本書を通じて、会社経営にデザインの考え方を導入することを奨励している。
この場合のデザインとは「課題解決」のこと。
「DEO」の6つの特徴
変化を起こす
DEOは会社の変化を奨励する。
伝統的なやり方はわかっているが、あえてそれに縛られない。
自らが変化の火付け役となる。
たとえばブレストに全く関係のない人………それこそ清掃員のおばちゃんとかも入れてみよう。
ブレストのメンバーは専門性よりも多様性が大事。
企業文化は「トップダウンで築くことができる派」と「ボトムアップで自然に生まれる派」に分かれることが多いが、DEOはどちらの立場にもくみしない。
企業文化は協力し合い、改善のプロセスを繰り返し、時間を欠けて築きあげるものだと思っている。
リスクを冒す
DEOはリスクを「創造力の発揮に欠かせないもの」と考えて受け入れる。
リスクを冒して失敗してもただでは転ばず、必ずその失敗から学びを得る。
リスクは「実験」である。
報告において「問題ありません」はDEOにとって最悪の事態。
問題がないならチャンスもなければ挑戦もなく、解決する機会もないからだ。
課題解決のサイクルを繰り返すことが「デザイン」するということ。
「デザイナー」は人やポストを表す言葉ではなく、活動を表す言葉として使用するべきであり、「デザイン」は受動的で使い古された名詞ではなく、能動的な動詞と考えるべきである。
システム思考をする
DEOは見えないつながりを重視する。
何かひとつに変化があったら、別のことにも変化が起きるだろうことを事前に察知する。
※システム思考とは …… さまざまな要因のつながりと相互作用を理解することで、真の変化を創り出すためのアプローチ。
たとえば1973年にアメリカの裁判で中絶が合法になったが、
「中絶が合法」→「望まない出産の減少」→「貧困層の子ども減少」→「犯罪率低下」
……という論理で、1990年代に入ってからは犯罪率が低下したとされている。
ここにおいて「中絶の合法化」が「犯罪率の低下」につながることを考慮するのがシステム思考。
直感力が高い
DEOは鋭い知覚能力や豊富な専門知識を通じて、何が正しいかを感じ取れる。
ただし数字に弱いわけではなく、直感的な判断も、論理的な分析も、どちらも有効であると考えている。
芸術や文化に親しんでみたり、ストレスを和らげるためにヨガや瞑想、温泉などに行くことによって直感力は高まるだろう。
社会的知性が高い
DEOは機器や表計算ソフトと向き合うよりも、見ず知らずの人たちと過ごすほうが好きである。
人々との付き合いが新しいアイデアや改善につながることを知っている。
この社会的知性を高める訓練として、丸一日「私」という言葉を絶対使わず、代わりに「私たち」という言葉を使うゲームをしてみるといい。
するとあなたは、まわりの人たちに目を向けざるをえない状況になる。
さっさとやる
DEOは社員の話を自ら詳しくきいてまわったり、社員の仕事に直接関与したほうがアイデアをさっさと実行できることを知っている。
即興演劇で遊んでみよう。
「状況判断」→「行動」→「対話」の繰り返しなので、仕事においても実行スピードが早くなる。
さっさとやるために、最初に「ひどい第一草稿」をつくることを推奨する。
※マクドナルド理論(「何食べたい?」という質問に対して誰からも案が出ないとき「マクドナルド」という一番最低の案を出すことで、「それよりはこの方が…」と案が出やすくなる理論)と近しい
大雑把でしたがこんな感じ。
リーンスタートアップやLean UXを読んだことがない人、そしてリーダーとしての自分に行き詰まりや不安を感じている人には一読の価値ありです!
CEOからDEOへ – 「デザインするリーダー」になる方法