ピクサー及びディズニーの現社長が書いた『ピクサー流 創造するちから』。
2014年に読んだ本の中で一番オススメです。
(英語の元タイトルは Creativity, Inc. 英語の勉強にどうぞ(笑))
ピクサーの歴史、挫折、失敗、
スティーブ・ジョブズの人格、才能、エピソード、
クリエイティブな組織・人材のつくりかた……
などなど、とても一言ではまとめられないほど盛りだくさんな内容。
著者の一生を描いて「こういうマインドだったから成功しました」みたいなよくあるクソつまらないビジネス本じゃありませんよ。
クリエイティブに関わる全ての人は読んで損しないと思います。
ふわふわとした「創造性」というものを言語化して僕らに突きつけてくれます。
僕自身が心に刺さった3点を、まとめがてら以下に引用しますね。
1.建設的な批評について
たとえばクリエーターに対して「ここ、イマイチじゃない?」はただのダメだし。
「ここ、ユーザーに『最高!』って思って欲しくない?」が建設的な批評。
ゴールを共有し、言語化し、そのゴールへとポジティブに導くことがディレクターには求められる。
また、クリエーター側は逆に、細部に徹底的にこだわり、建設的な批評を謙虚に受け入れることで、ユーザーやディレクターの感想は「いいね」から「すばらしい」になる。
仕事は「楽にする」ことより、「卓越する」ことを目指すべき。
安定を目標にしてはならない。安定よりもバランスが大事である。
クリエーターは「品質」をレンダリングやストーリーテリングに関するものだと思いがちだが、本質的にはポジショニングやマーケティングも含まれる。経営全体を見据えた幅広い視野が必要。
2.失敗は成功のためのコストである
失敗を恐れるのは、「一度しか鳴らせないギターだからコードをしっかり覚えてから弾こう、それで失敗したら諦めよう」と言ってるのと同じ。
一般的に「コードを弾き、間違えながら習得していく」ように、失敗は往々にして成功の糧となる。最初からキレイな成功を望むのは愚か。
最初から美しい作品などない。どんな美しいものも最初は醜い。
芋虫も、繭に包まれてから蝶になるのである。
すばらしいアイデアがうまれるためには、すばらしくない段階が必要。
過去ではなく未来を守れ。
ミスに対処するコストよりもミスを防ぐコストの方が高くつく場合が多いので、どちらかといえば、本気でぶつかって失敗してそのミスに対処する方がまし。
3.上司(マネージャー)は盲目である。
上司(マネージャー)は、部下の「上司に良い印象を与えようとする一面」しか見えない。
これは仕方ないことで、人を管理するという立場がそうさせてしまう。
この現象を防ぐことは絶対にできないから、上司(マネージャー)はそのことを理解したうえで行動するしかない。
また、上司(マネージャー)の仕事は「リスクを回避すること」ではなく、「リスクを冒しても大丈夫なようにする」ことだと自覚しなければならない。
以上の3点が、この本の個人的なまとめです。
それから、ジョンラセターの言葉でこんなものがありました。
「芸術は技術を挑発し、技術は芸術に刺激を与える」
………かっけええええ(T-T)
クリエーターに限らず、「組織づくり」に興味がある人はぜひ読んでみてください。
ただ単にピクサーやディズニーが好きな人にも、普通に裏話としておもしろいです(笑)